Public architecture | 公共建築

ミニマリストの家

  
  • 物件データ
  • 2009
  • 所在地 札幌市南区
  • 用 途 住宅
  • 構 造 木造2階建
  • 物件シート PDF

札幌市の石山に建つ住宅の計画です。
本住宅は、次の二つの主旨をもとに構成されています。
1 音楽を趣味とする施主が、ほとんどモノをもたないシンプルな生活を望んでいること。
2 敷地周辺に広がる公園や石山緑地など様々な風景を取り込むこと。

設計に当たり玄関や居間、ダイニングキッチン、寝室などが本当に必要なのかがまず検討されました。
住宅としての機能を保ちつつ既存のコードを疑いつつ要素を削ぎ落としながら設計を進めていった結果、風景もしくは陰影の変化や回遊性、さらには可変性といった、行為に基づいた時間の推移がテーマとして導き出されました。 これらを実現するための手法として、ルーバー状の貫材に覆われながらその四隅に周辺の様々な風景を取り込むための開口部をもつスケルトンの木の箱=「うち」の中に、水周りなど固定化を必要とする機能を有する白い箱=「うちのうち」を自律した状態で挿入しました。このことにより余白としての「うちのそと」としての空間が生まれ、そこを客席にもなるスキップフロアを手掛かりとした18層からなる立体的な回遊動線で結びました。また同時に、はなれとしての白い箱=「そとのうち」を木の箱の外に配置することにより「うちとそと」の関係の複層化を試みました。これらが上記のテーマを具現化する最も有効な構成として提案されました。
これにより、この最下層の地の間~書斎をもつガレリア~ステージ~スカラ(階段状の客席)~台所~ロフト~ブリッジ~最上層のバルコニー(はなれのうえ)に至る、あたかも広場や露地のような一筆書きの45mに及ぶ回遊空間を曲がるたび・また昇り降りするたびに、風景や光の質が変化する、シーンを固定化させない生活が生まれました。

今回掲載いたしました画像は、すべて実際に生活している状態のものです。現在子供が独立した後の他用途への転用をも視野に入れつつ、「住宅に何ができるか」を模索するために音楽会や美術展の企画が進行中です。

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