途上の家
そこは、かつて「みち」であった。
途上の家を道路側から見る
内部から道路側を見る
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手稲山山頂に向けて伸びる道路の突き当たりに位置する間口5.45m奥行45.4mのこの敷地は、15年前まで生活道路として近隣の往来を支えていました。設計にあたり心がけたことは、この敷地のもつ記憶を掘り起こして、あたかも「みち・途」の上に住んでいるような雰囲気を作りだすことでした。
まず敷地の奥まで土間を敷くことによって「みち」を復元し、それを覆うように間仕切りの無い間口4m長さ18mのトンネル状の空間を作りました。そして敷地のどこにいても、この「みち」の先にある手稲山や後庭の緑を見通せるように段状に床を設けることで、吹抜けを内包する大きい階段室のような空間が生まれました。このような自由度の高い空間を木造で実現するためには、在来工法を発展させたHOP工法を採用することが不可欠でした。
すべての開口部は、このトンネルの方向性を強調するように設けられています。特に近隣住宅によって塞がれてしまう南面からの採光を確保するために設けたトップライトからの光や熱は、刻々とその姿を変える外部の様子を内部に写し込む役割を果たします。
また内外に同じ材料を用いることも、「みち」の上に住んでいる気配を醸し出すのに一役買っています。
土間に面して並べた水廻りは固定していますが、特定の場所を占有してしまう居間や寝室などの部屋はあえて設けず、例えば夏は涼しい土間、冬は暖かい上階というように季節や時間の変化に合わせて自由に移動しながら生活するスタイルを提案しています。また上階の5ヶ所のニッチは、就寝や収納などのためのスペースとして、その機能を将来的に変化させることが可能です。
現在はこの空間を一般に開放してコンサートや美術展を行っています。さながらストリートパフォーマンスのように…。
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