Public architecture | 公共建築

藤野の家 K邸

  
  • 物件データ
  • 2006
  • 所在地 札幌市藤野
  • 用 途 住居
  • 物件シート PDF

現地建替えの今回のお宅は、山に囲まれた藤野の、高台に有りました。南側に住宅地、北西に広がる山の稜線、北東には街の風景。土地のポテンシャルを最大限に引き出すため、また既存住宅のリビングは、1階にあったため明るいリビングが欲しいと言う要望から2階に光の回る家族のくつろぎ空間を設ける事に、この設計は進んでいきました。

長いトンネルを、イメージしたこの建物は玄関を入ると、今歩いてきた道がそのまま建物を貫通し、外まで伸びていることを感じます。1階は、「みち」の突き当りの開口からやさしい光が、階段と洗面台を照らしています。その「みち」に並列に配置された駐車スペース、車を見ながら過ごすことのできるベッドルーム、メインベッドルーム、そして水回りが設けられています。

「みち」に入ると緩やかな階段に迎えられ、その先の、空と山の借景に引き込まれるように2階へ上がっていきます。2階の一室空間には、緑と街の景色を取り込んだフリーなスペース、真ん中に設置されたキッチンスペース、そして、何処にいても家族の気配を感じることができ、光が1階まで回るよう設計された、吹き抜けがあります。

そこからは、高さを家族に合わせた、北西の山の稜線を借景した、長さ9mの細長い窓が、設けられており、西に沈む夕日と、赤く染まった山々を、望むことができます。南側の壁には、L字型に切り取られた開口があり、日中の光を、周辺の住宅を気にすることなく、ふんだんに取り込むことができます。そして、東側に設けられたスリット状の開口が、朝の光を取り込んで、一日の始まりを伝えてくれます。夜には、各所に設けられた、間接照明が白い珪藻土をリフレクターとして、やわらかい光を、家の中に廻します。サッシは全て既製品を使用しましたが、連窓、フラッシュ納まりなどで、新しいディティール開発を、することができ、コストダウンもできました。

時間の変化を感じる空間と、オープンな巨大な一室空間が、この建物の最大の特徴だと、考えます。トンネル状に設計された空間には、いつまでも光が廻り続ける事でしょう。こうして季節の移り変り、時間による、光と影の変化に富んだ空間を、住みながらに体感できる家が、現象しました。

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