市街地における事務所建築のあり方と、音楽をはじめとするアートによる、地域への開放をコンセプトとし、設計しました。
受賞のことば
第14回札幌市都市景観賞を受賞して
本建築は、各種展示を生業とする㈱六書堂の創業100周年を記念して計画されたもので、地域への文化的な還元をしたいという施主の意向を基にして、アートを介した社会とのつながりを主題に、ハードとソフト両面から設計を行ったものです。
大階段でのコンサートの様子がまちに語りかけるガラスの箱と、収納用の白い箱を一階に分離して置き、それらの上に細長い木の箱をのせた門型の構成をとりました。これにより駐車場を奥に設置することが可能になり、その代わりにまちに面する部分にたくさんの樹木を植えました。これら樹木は、時間の推移を影というかたちで建築に映しこみ、木の外壁にはその成長を焼け具合の差によって緩やかに刻印していきます。木の箱の内部南側は絵画や書籍を収蔵したアートゾーン、北側が事務所ゾーンになっており、所員の方々はアートが複合された空間を感じつつデザインする環境となっています。
建築が永く存在し続けるためには「美しくあること」が必要なのはもちろんです。これに加えて、建築がそれを訪れる一般の皆様にとって「いかにたくさんの出来事を生み出し続けているか」が重要であると感じています。
それにより建築は、社会資産として経済的に循環し続け、人々の記憶に残り続けることが可能になると思っています。
審査に一般の方々の声を反映された札幌市のご認識に敬意を表すると同時に、投票してくださった
皆様、また審査員の皆様に深く感謝申し上げます。
このたびは、ありがとうございました。