Studio Sinfonica
 
  ARCHITECTURE

TRANS BLD.

「TRANS BLD.」は、すすきのに程近い国道36号線沿いに建つ築30年の旧信用金庫を会計事務所へ改修するプロジェクトです。
内外ともベージュ系であった建物全体を薄いグレーから白に統一し、光の拡散による秩序付けを行いました。


特に暗い印象があった1階部分については、さまざまな方位からに光を取り込むことによって明るく入りやすいエントランスにしています。もともとATMがあった部分は壁や庇の一部を取り払い、坪庭として再生しました。2階へと至る階段の壁のタイルだけは建設当時からの記憶を留めるものとして保存しています。
上階については、昼間は照明がなくても執務可能にするために、メインの2階の窓を大きくすると同時に、その窓の正面に応接室などを内包する白木の円弧壁を、ファサードにルーバーを設置することによって光を執務ゾーンの奥まで届かせることを実現しています。また人や街に対して開くことを意図して訪問者のためのゾーンを2階と3階のファサード側に設け、機能的に分断されていたこの2階と3階を光と行為によって繋ぐために「背骨=SPINE」としての螺旋階段を挿入しました。この螺旋階段は、これらすべての「変換」のシンボルとして街に対して働きかけます。
2階の執務ゾーンについてはS字型にくの字のテーブルを並べ、執務者の位置を固定化しないフレキシブルでオープンなオフィスのあり方を提案しています。またセミナーや小さなコンサートなど多様な活動が展開できるように、2階の訪問者のためのゾーンには円形ステージを設置しています。

[ trans-act ] 業務や交渉ごとを「解決する」
[ trans-form ] さまざまなことがらを「変化させる」

「変容」を表すtransという前置詞は「経営コンサルタント」という業務内容の基本姿勢にまさに合致する。
そして何よりこのプロジェクトは、30年後の建替え=既存価値の「転換・翻訳」trans-lateであり、それを象徴するルーバーと螺旋階段は光と行為の変換装置=TRANSであると…。

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