Studio Sinfonica
 
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顛末記 [格闘編 vol.1]

「伊藤所長、お久しぶりです」「あら、どうも。こちらこそご無沙汰してます」何事も無かったかのように携帯での会話が始まりました。伊藤所長とは前に勤めていた事務所のときに設計したとある集合住宅で御一緒させて頂いて以来のお付き合い。運が良かったのは、退職する直前の3月にその集合住宅の竣工2年検査の際に何度か携帯で連絡を取っていた事。あいさつもそこそこに「実は…」と内容をお伝えしたところ有難いことに「とにかくやってみましょう。すぐにでも打ち合わせをしましょう」という二つ返事を頂き、次の日には自宅スタジオで詳細を伝えるに至りました。いつもながら伊藤所長のフットワークの軽さには驚かされます。こちらが日時を伝えて「その時間はちょっと無理です」という言葉を聞いたことがありません。しかも小樽と札幌の距離感を感じさせない素早い対応。伊藤所長はじめ板垣建設さんのすべてに渡るご尽力が無ければこのプロジェクトは暗礁に乗り上げていたこと必至でした。

その後井上所長代理に「もし私の案を採用して頂けるならば、施工は私の信頼する板垣建設さんにお願いしたい」という旨を伝えました。本来図面をすべて起こし、数社に見積もりを掛けるのがセオリーですが、今回のさまざまな特殊な状況を勘案した場合、最初からオーナー、設計者、施工業者でプロジェクトチームを結成してしまうことが得策であることを即座にご理解頂き、次の週には三者の顔合わせを行い現地調査を敢行しました。それにしても現地調査はドキドキものでした。もしあの調査で不測の事態が起きていたら(実は施工中に何点か判明したのですが)契約はおろか、私の案が採用になるかどうかは別として計画自体が白紙になってしまう可能性があった訳で…(黒板純風)

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