2004年5月24日 石の蔵 ぎゃらりぃ はやし
北海道シリーズ二回目は、私の身体に前日の余韻を残したままスタートしました。
「石の蔵 ぎゃらりぃ はやし」は札幌駅近くの民家に併設された、元、質屋の蔵。
オーナーの林 常子さんご夫妻の主催です。伊東恵美子さん(名古屋)がこちらのギャラリーで朗読会が出来ないかと相談し、最初に決まった会場でした。
11時ごろ、札幌の町並みを散策しながら訪ね、早めに準備を開始。それも1時間ほどで終わり、喫茶ルームで珈琲をいただきながら暫し雑談。杪谷はデジカメで外観を写したり、林さんご夫妻を撮らせていただいたりと動き回っていました。
会場となる蔵の一階は、25脚の椅子でほぼ一杯。重厚な扉を2人掛かりで閉めると、見事な暗闇の出来上がり。ウムウム、まさに漆黒の闇。さすが、質屋の蔵!水も漏らさぬ密閉具合。その後、この蔵に24人(男性3人を含む)が、閉じこめられたのです。どうやら閉所恐怖症の方はいらっしゃらなかったようですが・・・。
定刻の二時を回ったところで客電が消え、会場は蝋燭の明かりに。急遽お願いした北大の学生(今回のお客さん)松信圭介さんが燭台を下げてくださると・・・“ホント真っ暗!昼の二時とは思えない”私は気をよくして朗読開始。予め待機していた階段から下り始めました。“北の大地”をイメージして、今回もゆっくりテンポの感触を持ちながら。しかし“いい調子”と思ったのもつかの間、落とし穴が待っていた。突然、正面のスポットの明かりが揺らぎ始めたのです。球切れの直前のように・・・結局、これには最後まで悩まされました。
杪谷の話では、蔵の電圧が低く、光量が一定にならなかったのだそうです。でも、可哀想な話、“悪いのは杪谷”となってしまうんですよね〜、これが。照明や音響はパーフェクトが当たり前。こんな時、照明マンは人知れず泣いているのかもしれません。しかし、そんな時、杪谷は・・・人前で嘆きます、ぼやきます。全然可愛くありません。
今日の会場には、源氏物語の朗読者もご出席とか。では、いつもよりハキハキと語りましょう。“え!意識するのかって?そりゃ、まぁ少しは。あの朗読は言葉が聞き取れなかった…では、これからの「夢の北海道シリーズ」も海の藻屑と消えてしまうというものですから”
照明を気にしながらも、観客の皆さんの熱い視線を受け読み進めていくと、今度は“えへん虫”の登場。本当に次から次へと変事がやって来ます。先程からお客さんも、あちらこちらで時々咳込むご様子。それが伝染したのか、私も言葉が出にくい。1~2回エヘン、エヘンと、こりゃまた失礼!それでも何食わぬ顔で朗読。
パカパカ点滅するライトを従えて、漸くラストを迎えましたが、ライトアップの場所が無い。そこで蔵の白壁全体を緑色で染め、いわゆる“エセ森の中”を演出。漸く皆さんを暗闇の中から解放したのです。
その後、隣の喫茶ルームで1時間近く懇親会。そこで、「どうして素足なのか?」 「助詞の使い方、文章の切り方が特徴的だが、意図的なのか?」とか「照明は毎回違うのか?」等といった質問をいただき、勿論、二人で親切丁寧(勝手に思っている)にお答えしました。
これで二度目の朗読会も終了、ホッと一息。林さんが「道南地方と合わせて、またやりたいですね。」と言ってくださいました。この一言に、思わず飛び上がりたいほどの
嬉しさと満足感を感じました。北の大地は・・・ホットなんですねえ・・・うひひです。
2004年5月25日 ハウジングオペレーションモデルルームでの朗読 レビューへ