Studio Sinfonica
 
  ARCHITECTURE

TRANS BLD.
顛末記 [格闘編 vol.2]

現地調査の時点でほとんど空間イメージは固まっていたので、とにかく設備更新や構造補強など見えない所でお金が掛かる工事が発生しないよう祈るのみでした。調査の結果、1年前まで使っていた設備は全面更新までの必要がないことが判明しほっと一安心。しかし!さすが30年経っている建物です。部分的に梁がたわんでしまい柱に囲まれた床の中央部が微妙に下がっていることが判りました。(ひどい所では5センチも!)補強の必要まではない、つまり倒壊の危険はないのはすぐわかりましたが果たして螺旋階段をつける位置の3階床を抜けるかどうか…。

これがだめだと案のコンセプトが全く成り立たなくなってしまうという不安に立たされましたが、これまた昔からお世話になっている構造設計事務所の冨永社長に無理を言って一度現場を見ていただきました。
するとクラック(コンクリートの表面に入る「ひび」のことです)の状態から、「経年変化で床スラブがそこまで下がったのではなく、施工時点の誤差で元々床が下がっていたと考えられる」という診断結果。つまり部分的に床を抜くにあたってその周辺に新たに柱や梁などを設置しなくても良いことがわかったというわけです。その時僕の目には冨永社長が神様に見えたことは言うまでもありません。というか涙で社長の顔が良く見えなかったという説も…(笑)


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