Studio Sinfonica
 
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TRANS BLD.
顛末記 [出会い編 vol.2]

そして5月19日、前記した所長代理からお電話。「畠中さんならどうするか、とにかくイメージを出してみて欲しい」という有り難いご依頼を頂いたのです。知り合って2・3日のしかも実績の無い若造に図面を見ただけで依頼するという何とも勢いのある無謀なご決断に、逆に「これは全力で応えなければいけない」と身の引き締まる思いを感じたのを昨日のことのように覚えております。やるとなったら中途半端はいけないと思いその2日後に即効現地調査を敢行し(その埃と荒れ具合に軽いショックを受けました)、簡単にいままでの経緯を伺うための打ち合わせをもたせて頂きました。しかしそこでスケジュールを聞いて驚きました。先行している計画があるとはいえ何と4ヶ月後には移転が決まっているとのこと。あまりの時間の無さにすでに頭は高速回転モード。しかもその頃は自宅のお披露目や引越しの関係で忙殺されており、落ち着いて案を考える時間がほとんど無い状態…でもいま振り返ってみると生来の怠け癖が発揮される余地すらないというこの猛烈なスケジュールは結果的に良かったのかも知れません。


さらには、限られた予算の中での改修。それを聞いて今度は超伝導高速回転モード。しかしブレーンストーミングしている時間が無かった分、またお金がありすぎてあれもやりたいこれもやりたいと考えるだけの余地が無かった分だけ、逆にイメージはし易かったので、案に強さと勢いが生まれたと言えるでしょう。かくして、この段階で「いかにして街と関わるか」「いかにして有機的に全体をつなぐか」「いかにして清潔な空間をつくるか」というテーマは私の中ですでに直観されていました。




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